NDI送受信と遅延の問題解決に関するAceess Managerの設定
ネットワーク内のNDIソース送信の問題や遅延については、NDIトラフィックが正しくルーティングされていない、またはマルチキャスト送信が正しく設定されていないことが一般的な原因として挙げられます。
NDIソースの送受信や遅延に関連する問題を解決するには、Access Managerを使用します。最新の NDI 4.x ツールを実行しているデバイスと旧NDI 3.x ツールを実行しているデバイスとの間で下位互換性を持たせることもできます。 Access Manager(NDI Tools Pack)の[Advanced]タブにある、受信モードでUDPを優先に設定します。
*注意
TriCaster/VMC1のソフトウェア上では、Add-OnsメニューからNDI Access Managerを選択して設定することができます。
マルチキャストを有効にする場合、ネットワークスイッチを含め、マルチキャストのネットワーク環境が正しくセットアップされている必要があります。使用しているシステムがTCPパケットをネットワークに送信している可能性があり、これがネットワーク上でDDOS攻撃として作用している可能性があります。これはマルチキャストを無効にすることで解決します。
*マルチキャスト設定についてはネットワーク管理者とご相談の上、正しく環境を構築の上、使用してください。
Access Managerでは、Advancedタブを開き、「Multicast Sending Enabled」のチェックぼっくを外すことでマルチキャストを無効にできます。
iPhoneとNDI Cameraアプリケーション
iPhone上でNDIカメラを利用した時に、黒い信号しか表示されない場合には、iPhoneアプリの設定で、カメラやマイクの利用を許可(有効)に変更してください。
マイクについては、NDIカメラアプリケーション上でミュートの設定が可能です。
NDI映像データの流れについて
2つの NDIデバイスがネットワーク上でお互いを検出すると、ビデオを送信デバイスから受信デバイスに渡すことができるようになります。ビデオを圧縮した後、NDI送信デバイスは受信側のNDIデバイスにセッション(接続)を開きます。この時点で、IPアドレスとポート番号で構成される2つのエンドポイントが存在します。
NDIネットワークフレームは、エフェメラル(一時的に割り当てられる)ポートの範囲で送信するTCPパケットです。NDI を送信するデバイスが送信セッションを終了すると、ポートは再利用可能になりますが、ほとんどのIPスタックは、エフェメラルポートのプール全体が使用されるまでポート番号を再利用しません。これは、NDIエンドポイントのシャットダウンにより切断された場合に注意することが重要です。新しい接続には、ほとんどの場合、異なるポート番号が割り当てられます。
NDIで使用するポート範囲は49152~65535です。内部ネットワーク上にファイアウォールが配置されたネットワークでNDIデバイスを使用する場合は、このポート範囲のデバイス間のトラフィックを許可する設定が必要です。
NDI推奨ネットワークスイッチ
下記は、4Kp60までのNDIに支障がないことを アスクで確認できたNDI推奨ネットワークスイッチです。
適切な使用範囲で問題がないことを確認できた機材リストであり、設定や接続によっては問題が発生する場合があります。
また、アスクとしての保証・サポートは難しい場合がございますので予めご了承ください。
APRESIA 社製
ApresiaLightGM110GT-PoE
ApresiaNP2000-48T4X-PoE
ARISTA 社製
ARISTA 7050TX-48
ARISTA 7020TR
Mellanox 社製
Mellanox SN2010
Mellanox SN2100
NetGear 社製
NetGear S3300-28X-PoE+
NetGear M4300-16X
NetGear M4300-28G
NDIワークフローにおけるネットワークスイッチの選び方
マネージドスイッチであること
- マネージドスイッチ (管理型)の ネットワークスイッチを導入することでトラフィックの監視やエラーの確認などが可能になります。
- またリンクスピードを設定することで接続を安定化できる場合があります。トラブルシューティングや安定運用のため
- マネージドスイッチの導入を推奨します。
十分なパケットバッファがあること
- 複数のNDIソースの受信や速度の異なるインターフェイスからのNDIを受信する場合などでパケットバッファの不足によりパケット損失が発生する場合があります。これを防ぐには十分なパケットバッファが必要です。
- (パケットの損失がNDIのエラー訂正能力を超える場合、フレーム落ちとなります)
各インターフェイス で十分な帯域が確保できること
- NDIの通信量概算より使用予定のNDIのトラフィックを確認し、必要な インターフェイス の速度を確認してください。
- トラフィックは 回線速度の50%を超えない範囲で設計してください。50%を超える場合には複数の インターフェイス を使用するなど対策が必要です。
その他検討事項及び注意事項
- 必要に応じてPoEでの給電について検討してください。PoE対応のネットワークカメラやコンバータ類を使用する場合には、PoEの給電容量を確認してください。
- 将来的に拡張する場合、スイッチ間は10ギガビット以上で接続することを推奨します。そのためのインターフェイスを備えていることが望ましいです。
- 独立ネットワークの導入について - 管理、信頼性、およびトラブルシューティングの為に、NDIワークフローを専用または非公開のネットワークに限定することを強く推奨します。
- 特にはじめてIPワークフローに移行する場合には分離することを推奨します。VLANを導入することでネットワークを分離することもできます。
- 単一のNDIソースに対して複数の参照を行う場合はマルチキャストの使用を検討してください。
- 単一NDIソースを複数個所で参照した場合、送信側のNDI通信量は 参照数に比例して増えます。送信側のNDI通信量が インターフェイス の50%を
- 超えるような場合は、マルチキャストへの切り替えをお勧めします。 マルチキャストを使用する場合は IGMP Snoopingによるトラフィックの制御をお勧めします。
- IGMP Snoopingを設定した場合に mDNS が使用不可になる場合があります
- ネットワークスイッチによっては IGMP Snooping使用時にmDNS が使用不可になる場合があります。
- mDNS が使用できないとNDIの自動探索が動作しないため、手動での登録が必要です。
- この場合、 NDI Access Managerより手動でIPアドレスを登録できます。
- サブネットを超える場合、 NDI Access Managerより手動でIPアドレスを登録することでNDIソースを使用できます。
- 往復でのパケット延滞が14ms以下であることが必要 - 低速な回線を含むネットワークの場合などで 往復でのパケット延滞(ping)が14msを超えるとNDIの通信が正常にできない場合があります。
- パケット延滞が14ms以下となるようにネットワーク設計する必要があります。
- MTUサイズ(パケットサイズ) - NDIでは最大1500Byteのパケットを使用します。もしMTUが 1500Byte 以下の回線を使用する場合はNDI Access ManagerよりReceive ModeをPrefer Multi-TCPに変更することで対応できる場合があります。
- 省電力イーサネット(グリーンイーサネット)の無効化 - ネットワークスイッチ の省電力イーサネット機能が有効な場合、NDIの通信が不安定になる場合があります。
- この場合、 ネットワークスイッチの設定を変更し、 省電力イーサネットを無効化してください。
NDIの 通信量概算目安
NDI | フォーマット | Fps | Mbps | MB/s |
NDI|HX | 1920 x 1080 | 59.94 | 16 | 3 |
NDI | 1920 x 1080 | 25 | 105 | 10-13 |
NDI | 1920 x 1080 | 29.97 | 110 | 12-15 |
NDI | 1920 x 1080 | 59.94 | 180 | 20-25 |
NDI | 3840 x 2160 | 29.97 | 250 | 28-35 |
NDI | 3840 x 2160 | 59.94 | 350 | 28-35 |
※上記仕様や内容はNDIのバージョンや周辺環境によって異なりますのでご注意ください。