富山県成長戦略、ハイブリッドイベントの映像演出に TriCaster® 2 Elite を採用

富山県成長戦略、ハイブリッドイベントの映像演出に TriCaster® 2 Elite を採用

オフラインとオンラインイベントの両立でビジョンや戦略を広く発信

さらなる発展による新しい富山県の実現に向けたビジョンや戦略を策定するため、2021 年 2 月に「富山県成長戦略会議」を設置。より多くの人に情報発信するため株式会社 EverTの蛯谷 耕太郎氏が企画し、富山県成長戦略カンファレンス「しあわせる。富山」を開催。イベント期間中にはハイブリッドイベントも実施され、NewTek 社のオールインワン・ライブ映像制作システム「TriCaster® 2 Elite」をメインとして構成した映像配信システムが活用された。

関連情報

TriCaster® は、イベント、ライブ放送、ストリーミング放送、社内会議、セミナー、企業ビデオ、商品説明などの様々なコンテンツ配信に利用できます。ネットワークに繋げるだけで、簡単に番組制作、ライブストリーミング配信、配信しながら同時収録も可能です。

神成株式会社

富山県知事が 2020 年に交代し、翌年 2021 年 2 月から富山県のさらなる発展に向けたビジョンや戦略を策定するため「富山県成長戦略会議」が発足された。会議の委員には第一線で活躍するさまざまなジャンルのメンバーが就任し、幅広い分野について突き抜けた議論が重ねられた。その中で決定したのが、ウェルビーイング先進県を目指す政略。これからの富山県の戦略を広く発信するため、県民も巻き込んで深く議論して広めていく富山県成長戦略カンファレンス「しあわせる。富山」が蛯谷氏によって企画された。

当イベントの期間中、カンファレンスを締め括る富山国際会議場を含めた3つの会場でハイブリッドイベントが実施され、神成株式会社 AVC 事業部 (以下、KAN-NARI) が当イベントの映像制作と技術担当を任された。

一人でも多くの人に情報発信

2022 年 3 月 12 日 〜 3 月 21 日までの 10 日間で実施された当イベントは、近年の新型コロナウイルスの影響からオフライン開催のみではリスクがあると判断。そこで、オフラインイベントと並行してオンライン配信も同時に行うハイブリッドイベントでの開催を決定した。

ハイブリッドイベントでは、オンライン視聴者向けの配信画面と実際に会場にいる来場者向けのスクリーン投影用の画面を、それぞれのプラットフォームに適した画面レイアウトで作らなくてはいけない。ここ数年でオンラインイベントの需要が一気に増え、最近はハイブリッドイベントが増えている。しかし、オフラインとオンラインという 2 つのイベントを並行して行うこの形式は、イベント運用のノウハウに加えて映像あるいは配信の知識も必要だ。また、ライブイベントという性質上、直前のトラブルやその場での変更が起こりやすいのも事実である。

ハイブリットイベントだからこそ生きる TriCaster® の強み

当イベントでも資料の差し替えや出演ゲストの変更、オンラインでの実施の可否など、イベント直前あるいは現場での急な対応を求められることも多く、まったく先読みできない現場であったという。そういった状況下では複数の機材、複数人を跨いでの操作性では間に合わない。1 つのシステム、1 人のオペレーターでさまざまなパターンの画作りをすぐに行える機材環境が求められた。そんな中で、当イベントのテクニカルディレクターである KAN-NARI の泉 悠斗氏が採用したのが、オールインワン・ライブ映像制作システムの「TriCaster 2 Elite」だ。画面のレイアウトを配信中に変更する必要があった場合に、配信しながら裏で気軽にレイアウト変更の準備をして瞬時に画面が切り替えられる点が決め手の一つだったという。

当イベントでは前日までのイベントの様子をまとめたダイジェスト動画を編集し、配信に使用することがあった。さらに配信の最中にもテロップや合成背景用のデータが届いたり、急に映像送出を行う場面も。通常のビデオスイッチャーやプレイヤーでは、データをインポートするためにファイル / コーデック形式の変換が必要だったり、変換作業に時間が掛かってしまったりする。TriCastar はそういったことも考慮されており、業界標準の動画ファイル / コーデック形式であれば、どの形式でもすぐにインポートできる安心感がある。また、本体内のストレージに静止画やグラフィックス、動画などもあらかじめ仕込んでおけるので、配信中にワンクリックで映像送出することも可能。これらの機能は追加の機材を必要とせず、1 人のオペレーターでも簡単に操作できるという点から、配信のための人員削減や機材の省スペース化にも繋がっている。

イベント現場に NDI を

今回のイベントは仮設ステージや多目的ホールでの開催だったが、どの会場でも大型スクリーンやプロジェクター、スピーカーなど、映像と音声の出力機器に繋ぐためにケーブルを長く這わせる必要があった。さらにビデオカメラや演台に設置された PC、Zoom からのリモート登壇用 PC、出演者用の返しのモニターなど映像と音声を利用するデバイスが多く、ケーブルがかさばってしまう。多くのケーブルを会場内に這わせると設営時はもちろん撤収時にも手間がかかるうえ、会場によっては撤収時間に余裕がなくスピードを求められる場合も多い。そうした問題を一気に解決するのが NDI の導入だと考える。

NDI とは、IP ネットワークを経由してビデオとオーディオを伝送する方式 (IP 伝送方式) のひとつ。現在世界でもっとも利用されている IP 伝送テクノロジーだ。対応機器やソフトウェアも多く、一般的なギガビットイーサネットに対応した LAN ケーブルで利用できるため、お手持ちの PC からすぐに利用できるのが大きな特長の一つである。

当イベントでは、ディレクター用のモニタリングや一部の映像ソースで NDI が使用された。KAN-NARI が配信担当する他のイベントではビデオカメラも NDIで出力したり、プレゼン資料や進行用のスライドなどで PC の画面を配信に使用する場合には NDI Tools をインストールして付属のアプリケーションで PC 画面をNDIで出力したり。ネットワーク接続の利便性、そして設営と撤収のことも考慮し、NDIを積極的に現場で活用している。

既存のビデオ機器を NDI 化するために Kiloview を採用

泉氏が Kiloview 社の NDI コンバーターを利用したきっかけは、単純なことだったという。

「私自身、さまざまな映像機器を普段から触っており、ある程度の知識も持っています。ですから、初めて触る配信関連の機器でも、使用方法に関してはある程度すぐに理解できます。しかし、現場での即時展開を考えると難しい設定もなく使える機材が機動力を発揮します。」

社内のメンバーにとって使い勝手の良い NDI コンバーターを探し、さまざまなメーカーを試用・比較のうえ選定。その結果、今回のイベントでは Kiloview 社の NDI コンバーター N40 を採用した。N40 以外の Kiloview 製品も試していくうちに、機能性が高く扱いやすいユーザーインターフェイスも備えている点で、ユーザビリティに優れた製品だと実感したとのことだ。

今後のイベントの動向

KAN-NARI ではイベント企画会社から、イベントの映像配信・技術パートの相談を受けることが多い。その中でハイブリッドイベントは、今後も増えていくだろうと考えている。実際に KAN-NARI が請け負う配信現場も、三分の一はハイブリッド形式のイベントが占めているそうだ。

今回のイベントを企画した蛯谷氏は今後、音楽イベントやトークイベント、同社が運営するミニシアターでの舞台挨拶なども、リアルな会場とオンライン配信のハイブリッド型で開催したいと話す。柔軟な対応が求められるハイブリットイベントの配信現場でこそ、NewTek 社の TriCaster および NDI の導入がますます重要になってくると考える。

導入製品

取材協力・参考