海外導入事例:Mobeon社、VR・ARを融合 企業向けライブビデオ制作を提供

海外導入事例:Mobeon社、VR・ARを融合 企業向けライブビデオ制作を提供

Mobeon社、VR・ARを融合し、強烈なブランドンエクスペリンスを生み出す企業向けライブビデオ制作を提供

原文(英語):https://www.newtek.com/blog/mobeon/

大会議場やコンサートホールのステージで、たったひとりのプレゼンテータが演台に立ち、クリックしてプレゼンを開始します。そのプレゼンテーションは、プレゼンテータがクリックする度に、会場内の大スクリーンに表示されるだけでなく、箇条書きの文字や写真がフェード効果で次々に映し出され、また、四半期の営業成績の棒グラフが表示されます。同時に、そのプレゼンはスマートフォンにも配信されます。

ほとんどの人にとってこのようなプレゼン光景を想像するのは難しくないはずです。

1990年5月22日、Microsoft社がWindows 3.0のリリース以降、世の中はOHPプロジェクターからデジタル・プレゼンテーション・プログラムに移行し、そして昨今まで、従業員、営業マン、学生、会議の参加者や顧客は、いつも似通ったプレゼンテーションを見続けなければならない光景が続いてきました。これを“パワポ死(Death by PowerPoint)”、つまり、退屈でありきたりなPowerPointプレゼンテーションによって聴衆が眠りに陥る現象を、米国Mobeon社のCEO マーク・アラマレズ氏は、ブランド・エンゲージメントに対する脅威であると考え、世界中の企業からこの危機的な状態を根絶、排除しようと試みています。アラマレズ氏は、言わば、コーポレートライブプロダクションの倫理的ハッカーのような存在です。

そしてアラマレズ氏は、NewTek社のTriCasterを自分の理念を牽引するエンジンとして捉えています。

Autodesk社のコーポレート・イベントでのドラマティックな観衆体験を演出

アラマレズ氏のバックグラウンド

アラマレズ氏は、南カリフォルニアと東京に拠点を置くメディア制作会社Mobeon社のCEO(最高経営責任者)です。韓国生まれのアメリカ人として多文化のバックグラウンドを持つ彼は、それらスタジオの要所に反映されています。さらに、彼の会社は設立当初から培ったきたビデオゲーム開発をバックグラウンドに、AR、VR、MR(拡張、仮想、複合現実)、360度パノラマビデオやモーションキャプチャなどといった先端技術を駆使した番組制作を提供しています。アラマレズ氏は、「自らが培ってきたビデオゲーム開発というバックグランドに加えて、ポップカルチャーの影響を多大に受け、さらに、コミック、ビデオゲーム、音楽、日本のアニメや漫画などが、後の自身にとってのゲーム開発において技術的スキルを磨くことにつながった。」とコメントしています。

マーク・アラマレズ氏は、"AR(拡張現実)を組み込んだレースをリアルタイムにライブストリーミング配信"といった世界初の試みを準備中です。

2つのカルチャー、そして2つの大陸から形成された彼の関心と教育環境を背景に、アラマレズ氏は、日本のアーティストの映画制作ライセンスの認可取得支援を行うことで、米国の映画業界におけるコネクションを築き上げました。これをきっかけに、ゲーム技術の経験を携え、VFXプロデューサーやクリエイティブ・コンサルタントとして、エフェクトを多用するハリウッドのプロジェクトのポストプロダクションに携わることができたのです。

Mobeonは、企業ブランディングだけでなく放送局との強い関係も築いています。

このようなこれまでの経緯から、彼が運営するメディアスタジオは、ゲーム由来の最先端技術に重点を置いていることもうなずけます。さらに以下の2つの要素が彼の昨今のスタジオ運営の方向性を決定づけることになります。その1つ目は、同社の顧客は、巨額のバジェットをもった大手映画やテレビスタジオ、ゲーム開発会社ではなく、企業のイベントマネージャーやコミュニケーション部門であること。2つ目は、エフェクトを多用するプロジェクトの処理および最終作品のレンダリングには膨大な処理能力が必要となり、プロジェクト完成に時間がかかりすぎることから、彼がVFX制作の現場を離れたこと。

その結果、彼は、現在、ライブに道を求めることになります。

TriCasterを使用して、ゲームイベントMineConのライブストリーミングを制作

やり直しが効かないストリーミングへのチャレンジ

「ポストプロダクションはとても根気のいるプロセスを必要とするため、私はもともと好きではありませんでした。」とアラマレズ氏はコメントします。アラマレズ氏は、ゲーム開発と映画制作の両方の面で、ビジュアルエフェクト(VFX)の辛さを経験しつくてきました。シンプルであろうと綿密さを求められるプロジェクトであろうと、ほとんどのプロジェクトは、プリプロダクション、モデリング、ペインティング、ライティング、ロトスコープ、アニメーションといった同じ工程を踏まなければなりませんでした。そして、途中問題があったとしても、非常に長いレンダリング工程が終わるまで、ほとんどの場合それら問題を確認する術がなかったのです。

「ストリーミングという考えが好きでした。ストリーミングはリアルタイムであり、すぐさま結果がでます。そして、配信が終われば、作業完了となります。後戻りはできません。このやり直しが効かないストリーミングでは、数々のチャレンジに遭遇します。」 そして、まさにその概念が、彼を惹きつけたのです。「瞬時に結果が見たかった。ストリーミングこそ、コンテンツ制作の醍醐味だと思った。」とアラマレズ氏はコメントします。

Mobeonは時間をかけ、同社の予算とクライアントの要件を満たすために幅広く機器を模索し、様々なシステム構成において中心的な役割を果たす機材としてTriCasterシステムを採用し、加えて、スタジオ内、モバイル、フライパックのライブストリーミング機能を持つ設備を整えました。

TriCasterで番組を進行するMobeonの現場
弊社は、ポータブルで4入力をサポートするTriCaster Miniシステムから4K/UHD 16入力をサポートするTriCaster TC1まで、TriCasterのほぼすべてのラインアップを所有しています。顧客が届けたいストリームやメッセージに対応していくためには、顧客のやりたいことに合わせてTriCasterのどの機種を選択するかが重要です。」とアラマレズ氏はコメントします。

アラマレズ氏は、それこそがMobeonが提供するソリューションの利点であると言います。「いくつかのブランドはカスタムエクスペリエンスを望みます、それは我々が彼らの目的を達成するために提供するものです。我々はどのようなプロダクションに対しても、クライアントが望む規模とレベルに合わせて、適切なTriCasterシステムを選択し提供することができるのです。そして、その柔軟性は重要です。万人に対してフィットする型通りのプロダクションではなく、個々のクライアントに合わせたプロダクションを提供可能とする、これこそが競争の激しい世界では明確なアドバンテージとなります。」

CES 2017でのSamsung社のように、大手ブランドのプレス発表会にインパクトを与えるライブイベント制作

「かつてはストリーミング配信を行うためのツールはとてもコストがかかりました。昨今では、それらツールの競争が激化し、数多くの種類のツールが市場に参入し始めています。わが社を差別化していくためには、常にユニーク、他とは違うモノを創り出す必要があるのです。」とアラマレズ氏はコメントします。

ゲーム開発の応用

事業が躍進する中、アラマレズ氏は、ビデオゲーム開発での経験をストリーミングに活用する方法を模索していました。ほとんどの法人顧客が、ライブストリーミングのプロジェクト中に、従業員や顧客、その他の視聴者とより効果的なコミュニケーションができる方法を求めていることに気付きました。

また、彼は、ビデオゲームで使用してきたテクノロジーがとても魅力的であることにも気付きました。ただし、ゲームの世界は、異なるビデオ解像度やフレームレートが混在し、さらには放送品質でないコネクション環境といったさまざまな問題がありました。しかしNewTek社が提供するNDI®テクノロジーを活用することでそれら難題がすべて解決することに気づき、NDIが問題となる部分をすべて解決に導いてくれたのです。つまり、NDIのVideo over IP技術は、ネットワークに接続されているすべてのNDIソースを認識し、しかもネイティブビデオフォーマットに関係なく、全て直接プログラムへ持ち込むことができるのです。

NFLドラフト中のEASportsを含む法人クライアントのライブ中継
「NDIが、Mobeonの今後のプロダクションの在り方に大きな変革を与えてくれたのです。ビデオゲーム業界は、VR、ARなどあらゆるイノベーションを取り入れています。NDIが、企業のコミュニケーションにおいてそれらテクノロジーをどのようにインテグレートできるかも見えてきました。そして、それこそが弊社の進むべき道だと考えています。」とアラマレズ氏はコメントします。

同社のライブプロダクションにNDIを活用する方法の1つとして、リアルタイム・ビデオゲーム・エンジンとライブストリーミングプログラムの連動です。リアルなウォークスルー、データのビジュアライゼーション化、グラフィックスやアニメーションをプレゼン中に表示させ、さらには、実写映像上にキャラクタなどを合成しリアルタイムに動かすといった演出も可能としたのです。

リアルタイムビデオゲームエンジンと同期し、ライブビデオとフル統合されたMobeonのTriCasterソース
「最近では、自動車ブランドAcuraの制作例があります。GPSで車の動きを追跡しながら世界初のARレースをストリーミング配信しました。ライブプレゼンテーションで使用される全ての素材は、車のGPS情報からオーディオ信号やビデオ信号まで、NDIを使ってネットワーク越しにゲームエンジン上のVRグラフィックスへ伝送され、それらすべての素材は、TriCaster内にてリアルタイムに合成され、ライブストリーミングしました。」とアラマレズ氏はコメントします。

レース当日の舞台裏のMobeonおよびAcuraのスタッフ
「Acuraブランドのイノベーションをこれまでに見たことも無い演出の中で調和させ、最先端のプレゼンテーションを制作することで、同社のブレンド認知度を高めることを目指しました。このストリーミング配信には、全てのコンポーネント、ハードウェア、ソフトウェアをNDIを経由してTriCasterへ接続することでNewTekソリューションを構築しました。そして、TriCasterにて映像をスイッチングし、様々なプラットフォームに対して同時に、しかも全てライブで放送することができました。」とアラマレズ氏はコメントします。

Mobeonは、ドライバー視点からのゲームインタラクションをリアルタイムでストリーミング

現実へのつながり

我々Mobeon社は、聴衆により多くの関心を与えるために、PowerPointによるプレゼンとはかけ離れた、企業全体にとってのブランディングを達成させるための演出を提供します。ブランドと知名度の両面でインパクトを与えようと試みる企業は、創造的なアイディアを求めて弊社にやってきます。彼らは、これまで以上に注目を引き、口コミで広がる可能性を作り出すブランディングを常に期待しているのです。我々は、その期待に応えるべく、技術的には無理だと思われるような要素もすべてミックスして、今まで見たこともない演出をライブ配信に取り込んでいくことに挑戦し続けています。」とアラマレズ氏はコメントします。

ビデオゲームエンジンでリアルタイムにレンダリングされたAcuraのARレースコース映像を、TriCasterのソースとして出力
アラマレズ氏はこれを、ストリーミング、ITソース、GPS追跡、ビデオ、オーディオ、リアルタイムUnityゲームエンジンといったさまざまな技術の集大成と呼んでいます。

「TriCasterがなければ、様々なメーカーのハードウェアやソフトウェアをフランケンシュタインのように継ぎ合わせる必要あり、それらのいくつかの組み合わせは互換性が無い場合が多々あります。更には、安定性に欠ける可能性があり、とても危険です。そして、それらハードウェアとソフトウェアの組み合わせを確認するためのテスティングに多大な時間とコストが必要となります。いくつかの他の同業者も、既存のツールセットにおいてAR体験のライブストリーミングを試みましたが、彼らのツール環境では困難でした。つまり、適切な技術経験とツールを併せ持たなければ、後編集した映像をライブ映像として配信したとしても、それは実際のライブ映像とは明らかに異なり、違和感のある印象を与えてしまうのです。」とアラマレズ氏はコメントします。

視聴者は、バーチャルコース上をドライバーが操縦するカーレースを視聴することができます。
TriCasterシステムによってインテグレーションされた環境は、単にオペレーション上のインターフェイスを一括で管理できるだけでなく、ライブプロダクション全体のワークフローにおいても連動した機能性を発揮します。NewTekのツールを使用することで、様々な設定がはるかに容易になり、ライブでスムーズなストリーミング配信を行うことができるのです。その成功が視聴者を幸せにしたのなら、クライアントの喜びは更に大きいでしょう。実際、クライアントは大興奮でした。クライアントが望んでいた視聴率を獲得し、クリエイティブな目標とエンゲージメントの目標も全て達成することができたのです。」とアラマレズ氏はコメントします。

TriCasterはワークフローにおけるハブの役割

私たちは、クライアントが視聴者とのコミュニケーションを支援する際は、ITを使用し他のシステムとコミュニケーションできる方法も検討し提案するようにしています。そうすることで、様々な場所や施設、たとえ海外に設置されているカメラからでも、あるいは別のシステムからの様々な入力ソースでも、より効果的にコミュニケーションをとることができます。

Mobeonは、ライブパフォーマンスを通じて企業イベントへの参加拡大を常に探求しています。

「TriCasterを使い続けるメリットは、特にネットワークを介してソースを追加することを可能とするNewTek NDIを使用することで、広範囲に亘る様々な素材を同じワークフローに取り込むことを可能とすることです。つまりTriCasterは、弊社のクライアントが求める多様なメディアや技術、ハードウェアとソフトウェアを統合する一種のハブと言えましょう。
さらに、NDIを用いたIPビデオの利用はまだ黎明期であり、TriCaster TC1のような最近リリースされたシステムで幅広い技術ソースを相互接続することの真の潜在力は、未だ発揮されていないと考えています。」とアラマレズ氏はコメントします。

スクエアエニックスのライブプロダクション:VRゲームからのソースをリアルタイムにTriCasterのソースとして使用

Mobeonは、リアルタイム・ビデオゲームエンジンと現実世界と仮想世界が融合するミックスリアリティ(複合現実)におけるレースコース、そしてその他さまざまな数えきれないほどのこれからやってくるIT技術とを結び続けることに取り組み始めています。ただし、私たちができることはまだ山ほどあり、始まったばかりと言えましょう。

Alamares氏は、TriCasterが、今後しばらくはライブ・ストリーミングプロダクションを牽引するエンジンとして見ています。しかし、彼の法人クライアントは、TriCasterが、“Death by PowerPoint”の終わりを告げるという単なるライブ・ストリーミングを行う以外の目的で使用される日がくることを見ることになるかもしれません。

 

本ケースタディに関するお問い合わせ先:
株式会社ディストーム TriCaster 事業部
電話:03-5211-3208
(受付時間:土日祭日を除く 10:00~18:00)
メール:dsk@dstorm.co.jp

株式会社アスク 担当:山本 操
電話:03-5215-5650
メールアドレス:Newtek_info@ask-corp.co.jp