海外導入事例:英国スタッフォードシャー大学、英国初のeスポーツ学科を開講!

海外導入事例:英国スタッフォードシャー大学、英国初のeスポーツ学科を開講!

英国スタッフォードシャー大学にて英国初のeスポーツ学科が開講。NDI®をベースとしたeスポーツ HUB施設が新設されました。

「私たちは、学生達が在学している間に、最高の体験が得られ、卒業後に志望する仕事に就くことが出来るように、学生が使用する機材やツールの選定、校内に設置する施設の拡充において、常に期待に応えてもらえるように心がけています。」
英国のStaffordshire (スタッフォードシャー)大学 メディア&コミュニケーション部門のテクニカル・スペシャリスト、Christopher Leese氏の言葉です。

 

このような方針は高等教育においてはさほど珍しいことではありませんが、ここでLeese氏の言及している仕事とは、2、3年前には存在しなかったeスポーツ業界だということです。

大学は、将来eスポーツ業界に関わる仕事を目指す学生のために、新しいファシリティを建設する決定を下し、そのタイミングでそれまで数十年に亘って使い続けてきた従来の機材をかたずけ、代わり、数年前には存在しなかった未来を見据えたテクノロジーに着目したのです。

 

先駆的カリキュラム

以下は、スタッフォードシャー大学ビジネススクールの新学科のカリキュラムです。他のどのアカデミックな経営プログラムとも異なるカリキュラムであることがお分かりになるはずです。

1年目の必須単位

  • 競争ゲーム文化
  • eスポーツイベントのリソース
  • eスポーツにおけるエコシステム
  • シングルプレイヤー eスポーツイベント
  • eスポーツイベント体験
  • eスポーツ放送

上記カリキュラムは、2018年9月に開始されたばかりの新しいコースのため、これまでの一般なカリキュラムとは全く異なります。このカリキュラムは、昨今のeスポーツ市場に参入しようとする多くの企業や投資家の出現のおかげで、2019年には記録的な収益が見込まれているeスポーツという新興産業のビジネスにフォーカスした英国初の学科なのです。

注目度が高まり、成長しつつあるeスポーツという新しい分野に対して、スタッフォードシャー大学は、卒業生への将来の道のひとつとして、11億米ドル(8億4400万ポンド)もの市場規模を持つ業界の最先端に関われる機会を見い出し、そして、eスポーツ学士号が誕生しました。

これまで培ってきたテクノロジー教育

英国ストークオントレントにあるスタッフォードシャー大学は、テクノロジー教育という点においては古くからの実績を持ちます。この大学のキャンパスのルーツは、100年以上前の1914年に開設された科学技術学校までさかのぼります。

これまで、大学のコンピュータサイエンスのプログラムとして、サイバーセキュリティの認定、AIやロボットの研究などを行っており、また、Cisco、Amazon、Microsoftとのパートナーシップも提携しています。

 

44入力をサポートするIPベースのビデオミキサーNewTek VMC12Stripコントロールサーフェイス
さらに、同校はビデオゲームに関連する4つ以上の学士プログラムを提供し、かつては世界最高のビジネススクールにランク付けされていました。また、世界初となるゲームPR及び管理学位の先駆け者でもありました。そのためスタッフォードシャー大学がeスポーツ経営に特化した学位プログラムを提供する英国初の教育機関となることは、自然な流れでした。

ビジネスとテクノロジーの実務経験の提供

2017年、この学科の構想時点で、ビジネススクールの採用担当副学長のRachel Gowers氏は、「企業は、起業家としての野心と技術的な知識の両方を持ち合わせた人材を求めている。」と述べ、eスポーツ業界がそのような人材に対して新しい雇用の創出を推進していることに着目しました。

eスポーツに関わる仕事とは、ゲームコンソールの前に座るプレーヤーだけではありません。企業がeスポーツ業界で収益を上げるためには、他のスポーツ同様、アスリートだけではなく、専門分野に特化したエコシステムが不可欠です。

また、これらの仕事には、カメラに映し出される側のコメンテーターや司会、コーチやアナリストなどの表舞台の役割から、イベントマネージャー、パートナーやスポンサーの担当者、制作スタッフ、チームまたは組織の管理者、財務専門家、広報担当などと言った舞台裏のプロフェッショナルまで様々です。

 

スタッフォードシャー大学に新しく作られたeスポーツ HUB施設
 

ビジネスと技術の専門知識の両方を持ち合わせたカリキュラムの提供を可能とする大学は、次世代の学生のキャリア開発を促進し、英国における業界の現状と成長に直接影響を与えるようなプログラムを開拓できる最適な位置にいました。

ビジネスカリキュラムにおける学術的な事例から作り上げられたカリキュラムは、マーケティング、人事、財務、イベント管理に関する教育を提供し、しかも、進化し続ける業界でのキャリアを追求する学生にとって、より関連性を高める近代的且つ脈絡をもった教育を提供します。

加えて、「学生にとって最良の就職機会を与えるためには、カリキュラム開発側が、学生と業界で働く実務経験をもった人達との間で密接に交流できる環境を与えることこそ、極めて重要であり、学生が自分達でeスポーツ競技やプロダクションの実践可能な最先端の施設eスポーツ HUBを整えること以上に、素晴らしいことではないでしょうか?」と講師のStuart Kosters氏は話します。

IPへのチャレンジ

カリキュラム開発側は、メディア&コミュニケーション部門のテクニカル・スペシャリストに依頼して、新しい施設の機材とインフラを選定し、設置しました。また運用に関する技術スタッフは、大学の他の制作スタジオで使用する機材の運用、サポート、メンテナンスを担当しているスタッフに依頼しています。

「校内に以前からあるニュースルームは、クロマキーと照明を備えた4台のカメラが設置されている一般的な”ニュース”用のスタジオです。」とLeese氏は言います。

「大学のテレビ研究やスポーツ報道プログラムの学生は、例えば、ニュース番組や特報のライブ制作や、サッカー場からのレポートを従来の放送機器を使って行っています。しかし、eスポーツ HUBには、4Kストリーミングに加えて、4Kカメラソース、グラフィックス、オーディオに加えて、12人のプレイヤーが同じゲーム上で対戦するために、ネットワークを介して同時に多数の高解像度のコンピュータソースのビデオミキシングが必要となります。さらに、eスポーツ HUB内の機材やネットワークの設定は新しい試みとして構築していくことになるため、いつでもできるだけ簡単に変更や拡張ができるように、柔軟さをもった設備でなくてはなりませんでした。つまり、将来を見据えた設備を構築することへの検討が必要でした。さもないと、すぐに時代遅れになるスタジオを構築してしまうことになるからであり、そのために、キーワードとしてのIPへの移行と活用は必須事項でした。」とLeese氏は話します。

フレンドリーなテクノロジー

国内初のeスポーツ・ビジネス学位プログラムの開講に向けて、過去にスタジオの構築や放送技術という技術面の知識もあまり持ち合わせていないLeese氏と技術担当のMatt Lewis氏にとっては、4Kをサポートする完全IP対応の環境をゼロから設計することは、かなり至難の業でした。Leese氏を中心としたスタッフは、これを自分達に与えられたチャレンジと捉え、トライアンドエラーを重ねてそれら知識の習得や理解を蓄積してきました。

 

eスポーツHub内のオペレーションルーム/NewTek VMC1システムと2Stripe Control Panel
一方、新しい機材の導入の選定については、スタッフのこれまでの経験則をもとに、最終的にeスポーツHUB内に設置される全ての機材の第一要件は、私たちが言うところの”使い易い(フレンドリー)機材でなければならない。”というルールを基準に行われました。

「このカリキュラムでは、学生を放送技術者にするために教育しているわけではないので、信号のルーティングや機器の接続方法について深く掘り下げた授業は必要とはしません。学生にとって簡単に習得でき、使えるツールでなくてはならない。それこそが機材選定において、NewTek社製品が採用される理由となった最大のポイントでした。」とLeese氏は話します。

 

NDIベースのワークフローを構築

技術スタッフは、これまで使用していたビデオルーターを使用することなく、フレーム精度のVideo over IPを実現するNewTekのエンコーディング技術NDIを中心にワークフローをデザインしました。

1GBイーサネットのネットワークインフラが用意された新施設には、高フレームレート、高解像度をサポートするゲーム仕様のワークステーションが13台設置され、それぞれのワークステーションには、PC画面をビデオソースとして出力することができるNewTek NDI Scan Converterソフトウェアがインストールされ、すべてのPC画面上の映像はNDIソースとしてネットワーク越しに出力され、NDIをサポートするビデオスイッチャー側の入力ソースとして扱うことができるようになります。

それら13台のワークステーションは、6人のプレーヤーからなる2チームと、さらに、ゲーム中どちらのゲームフィードを使用するかを決定するための“スペクテイターモード”のワークステーションがネットワークに接続され、また、Nintendo SwitchやPlayStationなどのコンソールゲーム機からのビデオ出力は、HDMI出力ポートからNewTek Spark Proコンバーターを使ってNDIソースに変換され、ネットワークに追加されます。

また、eスポーツ HUBのメインスイッチャーは、44入力ビデオミキサーNewTek VMC1が設置され、4K映像などの入力ソースはNewTek NC1 I/Oモジュールを介してVMC1へルーティングされます。

すべてのゲーム用ワークステーションやコンソールゲーム(グラフィックスおよびオーディオも含む)から出力されるビデオソースのミキシングは、2ストライプタイプのコントロールパネルが接続された44入力ソースをサポートするNewTek VMC1に集約され、技術スタッフのつきっきりのサポート無しでも、学生達だけでもオペレーションすることができます。

ワークステーションやコンソールゲーム機からのネットワーク入力に加えて、施設には4Kをサポートする3台のカメラと天井に取り付けられたPTZカメラがあり、それらはコンバーターを使ってSDIへ変換された後、NewTek NC1 I/Oモジュール経由でVMC1へ送られて、IP上でのミキシングおよびモニタリングが可能になります。(VMC1のみ10Gbネットワーク接続をサポートします。)

eスポーツ HUBのネットワークは、専用ネットワークスイッチを使用し大学管理のネットワークとは切り離すことで、ネットワーク上のトラフィックに負荷がかからないようにしました。

「放送技術やネットワーク面においてたいした知識を持ち合わせていなかった我々スタッフは、このプロジェクトを遂行しながら、NewTekが提供するエコシステムやNDIなどと言った新しい技術に助けられながら、放送技術者や専門家の助言をさほど受けることなく、自分達だけで比較的スムーズに構築することができました。つまり、NDIを活用することで、いかにシンプルにスタジオの構築が可能となるということです。」とLeese氏は話します。

 

学生独自のプロダクション

2018年9月、この学科は予想通り定員いっぱいで開講しました。「学生がHUBを使い始めてから数か月で、私たちは、様々な検討事項を試すために、設備の拡張や開発を繰り返し行っています。

また、最近では、eスポーツの代表チーム(またはeVarsity)と地元の他大学との試合をライブ中継なども行っています。

さらに、学生達は、キャンパスの放送スタジオからの映像を約800m離れたキャンパスの反対側にあるソーシャル会場へ送ると同時に、その会場のカメラフィードをスタジオへ戻して、放送の一部として使用するといったことも実際に行っています。

「従来の設定では、両拠点間を同軸ケーブルで結ばなければ、ストリーミングを行った場合大きな遅延が発生するため、このようなことは不可能でしたが、環境をNDIベースのワークフローにしたことで、従来の放送スタジオでは実現できなかった新しい可能性を拡張してやり遂げることができました。」とLeese氏は話します。

「また、今後も、学生達独自で企画運営するイベントが他にも数多く予定されています。週末に開催されるイベントは、学校側スタッフの技術協力は受けられ無いため、すでに、学生達は、自分達だけで使用したい機材を選定し、セットアップし、効率的なプロダクションを行い始めています。」

補足情報

 


導入事例に関するお問い合わせ先:

株式会社ディストーム TriCaster 事業部
電話:03-5211-3208
(受付時間:土日祝日を除く 10:00~18:00)
メール:dsk@dstorm.co.jp

株式会社アスク
メディア&エンタープライズ事業部
ライブ映像システム営業グループ

担当:山本 操
電話:03-5215-5650
メールアドレス:Newtek_info@ask-corp.co.jp